MMT(現代貨幣理論)とは何か?国債の発行と供給能力の関係性を知る

皆さんこんにちは!まっきーです。

今回は「供給能力」「プライマリーバランス黒字化」「MMT(現代貨幣理論)」このあたりをテーマに話しをします。

「供給能力」と聞いても、皆さんはピンと来ないかも知れませんね。しかし、供給能力とは国家にとって非常に大切な資産であり、GDPを生む源泉とも言えます。

その大切な「供給能力」を毀損していく原因の背景には、PB黒字化目標の存在があります。

そして、そのPB黒字化目標を真っ向から否定する考え方が、ここ数年で話題になりつつあるMMT(現代貨幣理論)の存在です。

今回は、このあたりをテーマにそら美ちゃんと勉強していきます!

まっきー

そら美ちゃん!では今日も経済を勉強しよう!

そら美ちゃん

その前にしつもーん!

まっきー

あら珍しい、何かな?

そら美ちゃん

まっきーさんは、どうして経済を勉強し始めたの?

まっきー

僕が勉強を始めたキッカケ?う~ん、もう10年以上も前だから記憶が曖昧だけど、「どうして日本はずっと不景気なんだろう?」という疑問が出発点だったと思う。

そら美ちゃん

そうなんだ!で、それを調べているうちに、マクロ経済に詳しくなったの?

まっきー

そうだね。調べているうちに理解が深まって、それを多くの人に知って欲しいと思うようになった。国民が事実を知らない事が不景気の原因の一つだと分かったからね。

そら美ちゃん

そうだったのね。でも、経済って難しく感じるから、伝えるのって大変そうだよね。

その通りだね。友人とかに対面で経済の話しをしても、キョトンとされるか、興味なさそうな顔をされてしまう事が多いね。

そら美ちゃん

伝えるのって難しいんだね。

まっきー

うん。やはり興味を持ってもらわないと難しい。でも、自分たちの国のことだし、国民の所得に深く関わることでもあるから、本来なら興味があるはずなんだよね。

そら美ちゃん

そっかぁ。ま、私が聞いてあげるから元気出して!で、今日はどんな話をしてくれるの?

まっきー

今日は改めてPB黒字化目標(基礎的財政収支)の話しを中心にしようと思う!

そら美ちゃん

おっけー!でも、それ前に少し習ったね?

まっきー

うん、話したね。財務省が目標に掲げているやつだね。

そら美ちゃん

その目標のおかげで、私たちの所得は奪われ続けている、って認識しているけど?

まっきー

そうだね。財務省が緊縮財政を実施する根拠としているのが、このPB黒字化目標。今日は、この話を少し深堀していこう!

そら美ちゃん

おっけー!

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目次

PB黒字化目標により削られた「保健所」の数

まっきー

PB黒字化目標とは何だっか覚えてる?

そら美ちゃん

えーっと、たしか政府の支出を減らして、税収を増やすことだったよね?

まっきー

うん、つまり政府の負債を減らすことが目的。そしてこの目標を達成するために、政府は緊縮財政を実施している。

そら美ちゃん

だから、政府は増税とかを繰り返してるんでしょ?

まっきー

だね。増税は政府の収入を増やす事が目的だね。

そら美ちゃん

それと、支出を減らそうともしてるんだよね?

まっきー

その通り。その一例が「公共投資の削減」だったね。政府は、過去に比べて公共事業にかかる支出を半分近くまで減らしている

そら美ちゃん

うん、そうだったね!

まっきー

他にも、政府は「保健所」の数も減らしてるんだよ。

そら美ちゃん

保健所?今コロナで大変そうだよね?

まっきー

うん、その保健所も公的機関のひとつ。少し前にNoteの記事にするために、どれくらい減少しているか調べたんだ。

そら美ちゃん

そうなんだ。どれくらい減ってるの?

まっきー

1997年(平成9年)に保健所は約850箇所あったんだけど、現在では469箇所まで減っている。グラフだとこんな感じ。

引用元:全国保健所長会 より
そら美ちゃん

うわ~!平成9年以降、どんどん減少しているね。

まっきー

そうなんだ。1998年には、100箇所以上を閉鎖している。

そら美ちゃん

いきなり100箇所ってヤバくない?

まっきー

そうだね。消費税を増税した翌年の1998年だから、実施するタイミングとしてかなり最悪だね。

そら美ちゃん

増税して景気が悪くなっている上に、保健所を100箇所以上も閉鎖したんだ・・・。

まっきー

1つの保健所で働く人の数、関わる業者の所得や利益がどれくらいか分からないけど、その分だけ所得や売上が減少したことは間違いない。

そら美ちゃん

保健所の閉鎖で支出が減って、その分だけGDPが減ったって事よね?

まっきー

もちろんそうなる。これは一つの例に過ぎないけど、こんな調子で政府は支出を減らしていったという事例だね。

「誰かの資産は誰かの負債」という話し

そら美ちゃん

保健所の例みたいに政府が支出を減らすと、その分だけ国民の所得は減るんだよね?

まっきー

当然減るね。で、日本はデフレだから需要と供給のバランスはどうなっているんだっけ?

そら美ちゃん

供給に対して、需要が不足している状態よね?

まっきー

その通り。需要が不足するから、本来なら政府は需要を増やす必要がある。そんな中で保健所を減らせばどうなると思う?

そら美ちゃん

需要がさらに減ると思うけど。

まっきー

そう。理論的に考えても絶対にそうなるね。

そら美ちゃん

だからGDPが減る。でもGDPが減れば、政府の収入も減るんじゃないの?

まっきー

そうだよ。なんせ税金の源泉となるGDPが減るからね。支出を減らしても、税としての収入も同時に減ってしまう。

そら美ちゃん

じゃあ、何のために政府は支出を減らすわけ?

まっきー

もちろんPB黒字化目標、つまり政府の借金を減らす、という目的のためだろうね。

そら美ちゃん

それで同時に税収が増えるなら分かるけど、減ってるのなら効果が低いと思うんだけどなぁ。

まっきー

結果的に政府の借金が増えている状況を見ると、むしろ悪い方向に進んでいる。政府の借金を減らすのが目標なのにね。

そら美ちゃん

思いっきり矛盾してるね。

まっきー

こうやってロジカルに考えると、政府の対応がますますおかしいという事が分かる。

そら美ちゃん

うん、本当に税収を増やしたいと思っているのかな?って思う。

まっきー

ここで前に話した「誰かの資産は誰かの負債」を思い出して欲しいんだけど、政府が支出を減らすと、その分だけ民間の資産が減るってのは今までの説明で理解できる?

そら美ちゃん

その辺はまだ怪しいかも。でも、政府が支出して需要を増やせば、民間にお金が流れてGDPって増えるんだよね?

まっきー

うん、そうなるね。

そら美ちゃん

という事は、今のデフレ不況では、政府が支出を増やさない限り民間の需要は増えないよね?

まっきー

そうだね。でも政府は支出を減らしている。だから、本来なら政府は資金を調達して、支出に回さなければならないんだ。

そら美ちゃん

でも、その場合、政府はお金を一体どこから調達するの?

まっきー

そのあたりは難しいかもね。でも、頑張って説明していくね。

国債の発行と「現代貨幣理論(MMT)」のはなし

まっきー

政府が支出を増やす=民間の資産が増える。という前提の中で、一体政府はそのお金をどこから調達するか?これが疑問だね。

そら美ちゃん

うん、それってどうしてるの?

まっきー

前に話したけど、基本は「国債」を発行する。

そら美ちゃん

こくさい?あ、前に建国国債の話しを聞いたね。

まっきー

うん。建国国債は国のインフラなどに充てる資金を調達する時に発行するんだ。

そら美ちゃん

そうそう、公共投資に使われるんだったね。

まっきー

その上でインフラを整備すると、民間にお金が流れて「道路」「橋梁」「防潮堤」などを造作する。そうすると、民間企業にはお金が流れ、更に新しいインフラが生まれる。

そら美ちゃん

民間企業が政府から仕事を請け負って道路や橋を作り、利益を上げるって事ね。

まっきー

その新しいインフラは政府の資産になる。そして、このようなインフラは「国富」と言われる。

そら美ちゃん

国富?

まっきー

そう、国富となる。つまり、政府の資産が増える事になるんだ。

そら美ちゃん

じゃあ、単に借金をしただけじゃなく、その分資産も生まれるって事なんだね。

まっきー

そう。で、話しを戻すけど、建国国債は「普通国債」といわれるものの一種なんだ。

そら美ちゃん

普通国債?

まっきー

うん。普通国債には建設国債、特例国債、年金特例国債、復興債及び借換債がある。

そら美ちゃん

うわ、色々あるんだね。

まっきー

公共事業費等以外の歳出に充てる財源を調達することを目的として発行する国債は「特例国債(赤字国債)」と言われている。

そら美ちゃん

赤字国債って何か聞いた事あるかも。

まっきー

いずれにせよ、疑問はこれら国債はどうやって発行されるのか?だよね。

そら美ちゃん

うん。そのあたりは全然想像できないな。

まっきー

すこし難しいけど、説明するね

そら美ちゃん

うん、お願い!

まっきー

建設国債を発行してもなお歳入が不足すると見込まれる場合に、公共事業費等以外の歳出に充てる財源を調達することを目的として、特別の法律に基づき発行されるのが赤字国債だよ。

そら美ちゃん

急に説明文章になったね。その為の法律があるんだね。

まっきー

で、国債発行の手順なんだけど、かなり難しいから簡単に説明すると、こんな感じ。

【国債が発行される流れ】
政府が日銀当座預金から資金を調達する(つまり借金する)
②政府は政府小切手を発行して民間企業へお金を支払う
③民間企業は、政府小切手を民間銀行へ持ち込み、銀行預金として現金化する
④民間銀行は、政府小切手を日銀へ持ち込み、日銀当座預金から現金化する。
⑤最終的に、お金は民間企業や従業員へ分配される。

そら美ちゃん

むむむ、難しすぎる・・・。

まっきー

分かりにくいよね。細かいところは置いておくとして、注目したいのは政府が資金を調達するのに担保無しで国債を発行しているところかな。

そら美ちゃん

担保なし?

まっきー

うん。普通、お金を借りるときは担保が必要なんだ。無担保で借りられるローンもあるけど、それはいわゆる消費者ローンとかだからね。

そら美ちゃん

そういうものなのね。

まっきー

しかも、基本的に政府は無担保で、かつ無制限に国債を発行できる。

そら美ちゃん

無制限?

まっきー

うん、基本的に制限はない。ただし実質的な制限はあると言われている。それは「その国の供給能力」なんだ。

そら美ちゃん

供給能力?それが制限になるの?

まっきー

いわゆるモノやサービスを生産できる能力だね。これを上回る国債を大量に発行してしまうと、深刻なインフレになる。

そら美ちゃん

インフレ・・・要するに、需要に供給が追い付かない状態?

まっきー

その通り。例えば政府が超巨額な国債を発行して、国民1人あたり100億円を配ったら、ヤバくない?

そら美ちゃん

何その夢みたいな状況!ちょっと想像できないけど、100億円もあったら欲しいもの全部買っちゃうかも~!

まっきー

その通り。で、もっと深刻なのは労働力かもしれない。100億円も持ってたら、働かない人が続出するだろうね。

そら美ちゃん

そっか。働き手が不足するから供給能力が減るよね。

まっきー

で、皆がお金を沢山もっているから、モノやサービスが売れまくる。ものすごい勢いでインフレになるだろうね。

そら美ちゃん

みんなが食料なんかを買い漁る・・・すごい混乱になりそう。

まっきー

供給能力が追い付かないから、必ずそうなるね。食料や製品がスーパーやコンビニから消えていく。きっと大混乱に陥るね。

そら美ちゃん

それがインフレの怖さなんだね。

まっきー

極端なインフレの場合だけどね。ここまで酷いインフレだと一般的にはハイパーインフレ―ションって言われる。

そら美ちゃん

ハイパーインフレーション!

まっきー

うん。このように、極端な額のお金を発行して民間に流すと、とんでもなく経済が混乱する。だから「供給能力」が政府が国債を発行する際の制限、と考えられている。

そら美ちゃん

ふむふむ、なるほどね~。

まっきー

少し話しが逸れてしまったけど、このように政府が供給能力の範囲ならいくらでも国債を発行してもよい、という考え方は「現代貨幣理論(MMT)」がベースになっている。

そら美ちゃん

げんだいかへいろん?久しぶりに難しいのキター!

まっきー

僕もいま勉強中だけど、その考え方には概ね賛同できる内容なんだ。MMTの代表的な主張をまとめると、こんな感じだよ。

【現代貨幣理論(MMT)の主張】
①自国通貨を発行できる政府は財政赤字を拡大しても債務不履行になることはない
②財政赤字でも国はインフレが起きない範囲で支出を行うべき
③税は財源ではなく通貨を流通させる仕組みである

そら美ちゃん

ふぇ~なんか難しい。でも、さっき説明してくれたのは②だよね。

まっきー

そうだね。で、MMTの主張で一番重要なのが①だね。まあ、③もかなり重要だけどね。

そら美ちゃん

①ね。えーっと「自国通貨を発行できる政府は財政赤字を拡大しても債務不履行になることはない」って・・・これってPB黒字化目標と考え方が真逆じゃない?

まっきー

その通り。PB黒字化の根底にあるのは「このままでは日本財政は破綻する!だから政府の借金を減らさなければ!」だからね。

そら美ちゃん

でも、MMTでは債務不履行になることはないって言ってるよ?

まっきー

一体どっちが正しいのか?今まで勉強してきたのなら、自分の頭で考えてみるのが一番良いね。

そら美ちゃん

自分の頭で考える・・・が、頑張ります。

まっきー

今日は長くなったので一旦ここまで。次回は、MMTと「国の財政破綻論」について深堀していこう!

そら美ちゃん

うん、よろしくー!

まとめ

今回勉強した内容をまとめると、以下になります。

◆日本の「保健所」の数は、およそ半分まで減らされている。
◆「誰かの負債は誰かの資産」。政府が支出を減らせば、その分だけ国民の所得が減る

◆政府が国債を発行し負債を増やすことが可能な範囲は、その国の「供給能力」である。
◆MMT(現代貨幣理論)では「自国通貨を発行できる政府は財政赤字を拡大しても債務不履行になることはない」と主張している。

これまで、何度もPB黒字化目標の話しをしてきました。そして、政府が目標にしているのは「国(政府)の借金を減らす」でしたね。

しかし、ここ数年前からMMT(現代貨幣理論)が台頭し、その主張の雲行きが怪しくなりつつあります。

次回は、MMTに触れつつ、このあたりの主張が正しいか否かについて、説明したいと思います!

もし良かったら、次回も読んでください!

では、最後まで読んで頂いて、ありがとうございました!

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