皆さんこんにちわ!まっきーです。
前回は、そら美ちゃんと一緒に「国の借金の本質」や「日本が目指すべき財政政策」について学びました。
今回は、日本経済復活のカギとなる「財政出動とは何か」について、そら美ちゃんと一緒に学んで行きたいと思います!
◆今回の主なテーマ
・日本に蔓延している「デフレマインド」とはどんなマインドなのか?
・財政出動とは、どんな経済政策なのか?その中身を知る
・消費税とはなにか?消費税に潜む問題点を理解する
そら美ちゃん、昨夜はゆっくり寝られたかな?
うん、久しぶりに頭を使ったから、ぐっすり眠れたよ!
それは良かった。昨日は、ちょっと張り切り過ぎて、色々と話し過ぎてしまったかもね・・・。
確かに、昨日は内容が盛りだくさんだったなぁ。
ゴメンね。普段、あまり経済の話しをする相手が居ないから、つい張り切り過ぎちゃったんだ。
そうなの?普段から色んな人に説明しているのかと思ってた。
いや、それはないよ。会社の周りの人に話しても、スルーされるかキョトンとされてしまうからね。
まだまだ一般的に知らない人が多いって事?
マクロ経済に興味を持つ人なんて、そんなに居ないからね。みんな自分の生活で手いっぱいだもん、仕方ないよ。
そうなんだ。でも、私は今かなり興味があるよ!
そう言ってくれると本当に嬉しいよ!じゃあ、今日も一緒に勉強していこうか!
うん、よろしく~!
日本に蔓延している「デフレマインド」のはなし
では、少しこれまでの振り返りをしつつ、今日の本題である「財政出動」について話していくね!
ざいせーしゅつどうね!
そう。日本は24年前からGDPが増えておらず、かつ税金の負担が増えていて、国民が貧困化している状態が続いている。
そうだったね。
その理由は、デフレ不況下において実施され続けている、日本政府が実施している「緊縮財政」に原因がある。
デフレ不況下では需要が減るからモノやサービスが売れにくいんだったよね?
その通り。にも関わらず日本では国民から所得を奪う「緊縮財政」が中心に実施され続けてきた。
出た!きんしゅくざいせー。
うん、緊縮財政。そして、これが実施される根底には、財務省が掲げているプライマリーバランス黒字化(以下、PB黒字化)目標がある。
わたし、その「PB黒字化目標」ってなんか嫌い・・・。
まあ、好き嫌いで語るものではないけど、もちろん自分も好きじゃないよ。だって、僕ら国民の所得を奪う政策だからね。
PB黒字化目標って、やっぱり国民を貧困化させるの?
結果としてはそうなるね。で、ここで前に説明した「誰かの資産は、誰かの負債」を思い出して欲しい。
あ、その話ししてたね。
うん。経済の基本ね。で、政府が負債を減らすと言うことは、その一方で、同じ金額の資産を減らす人が必ず居るという事になる。
へえ、誰の資産が減るの?
もちろん、我々国民だよ。
え!そうなの?
逆に、政府の負債が増えるということは反対側で誰かの資産が増えると言うことでもある。
だから「誰かの資産は、誰かの負債」なのね。
この視点で考えれば、アメリカがGDP以上に負債額を増やし、その分を国民に分配した結果、GDPを増やしたという事が分かるね。
あ!!確かにそうだった!でも、日本も負債額は増えていたよ?
国 | 2001年のGDP | 2001年の負債額 | 2021年現在のGDP | 2021年現在の負債額 |
アメリカ | 1058兆円 | 562兆円 | 2293兆円 | 3057兆円 |
日本 | 536兆円 | 771兆円 | 537兆円 | 1421兆円 |
うん。まだ勉強不足で僕も上手く説明できないけど、負債を増やしたにも関わらずGDPが増えていないって事は、その資産は国外に流出した可能性がある。
え?外国にってこと?
きちんと調べたことがないので推測だけどね。でも、政府の負債が増えているのに日本のGDPが増えていない事実から、そう推測するしかない。お金は消えたりしないからね。
なるほど。
そうだと仮定すると、日本経済政策は完全に失敗している事に間違いはないね。
借金だけ増やして、国民がまったく豊かになってないんだから、それは間違いないね!
そうだね。日本の経済政策は間違っていると断言できる。
なんで間違えるのよ・・・すごい迷惑だよ。私のソフトクリームちゃん達が・・・。
政府が負債を減らそうとすること自体を否定する気はないけど、とにかくタイミングが悪い。
昨日話してた、きんしゅくざいせーってやつ?
そう、緊縮財政。デフレ不況下で緊縮財政を実施すれば間違いなくデフレが悪化する。
つまり私たちの所得が減り、それに伴って支出(需要)も更に減る。だから結果としてGDPも増えないって訳ね。
本当に理解してきたね、そら美ちゃんは。それ、普通の人はさらっと説明できないよ?
うん、興味も沸いて来たし、知ることって楽しい!
それは良かった。で、タイミングが悪いことは分かったと思うんだけど、じゃあ日本政府はどうすべきか?だよね。
それが、ざいせいしゅつどー!
そう!つまり「我々国民の所得が増える財政政策」の事だね。
そうそう!所得が増えればソフトクリームがもっと・・・。
もっと食べられるようになるね。それはつまり、国民が所得を増やして、同時に支出を増やす、という事だよね。
そっか。たとえ所得が増えても、そのお金が使われないと意味ないもんね。
うん、貯蓄に回ってしまうと意味がない。
貯金って良いことだと思うけど、マクロ経済的に考えると、あまり良いことではないんだね。
そうなんだ。そういう性質のことを専門用語で「合成の誤謬」って言うんだ。
ごうせいのごびゅう?
うん。ミクロ視点でみれば「貯蓄」は良いことでしょ?でも、国民みんなが貯蓄ばかりしてしまうと、消費に回るお金が減り、結果として需要不足(デフレ)を引き起こす。
それを「合成の誤謬」って言うんだ。
そう。そして、今まさに日本で起きている現象も同じ。みんなが支出を控える傾向が強いため、支出(消費)に回らない。
でも、所得が増えない以上、その傾向は改善されないよね?不安だから出来るだけお金を使わず、節約するしかないもん。
そうだね。日本では、そういうマインドが完全に定着してしまったんだ。これを「デフレマインド」と言ったりする。
また新しい言葉が出て来た!さらっと新しい専門用語使うよねー。
だって随分と慣れてきたでしょ?このデフレマインドは、所得が増えない事からくる不安心理なんだ。
確かに所得が増えないなら、不安になって貯蓄に回すって考え方は間違ってないもんね。
真面目な人ほどそうなる。企業も儲からないから、投資を控えてむしろリストラを実行する。
そんな中で緊縮財政なんて実施したら、ますますデフレが悪化する!という訳ね。
その通り。だから、日本のGDPは全く増えていないんだ。
そこで登場するのが、ざいせいしゅつどー!
そう、財政出動の出番だね。
財政出動とは、どんな内容?
じゃあ、財政出動の話しをしていこうか。
うん!ざいせいしゅつどー!
それ、言いたいだけでしょ。まあ、緊縮財政に比べたら随分と前向きな言葉に思えるかもね。
うん!だって私たちの所得を増やす政策なんでしょ~?
財政出動の目的は『税金や国債などの財政資金を公共事業などに投資することによって公的需要・総需要を増加させ、国内総生産(GDP)や民間消費などの増加促進を図ること』だよ。
急に改まった難しい言い方したけど、結果として私たちの所得が増えるって事よね!
そうだね。そら美ちゃんは、財政出動って言ったら、どんな政策があると思う?
うーんと・・・何だろう?あ、給付金とか?
うん、それもそうだね。でも、それだと半分くらいしか目的を達成できないね。
目的?私たちの所得を増やすことが目的じゃないの?
正確に言えば、それは目的と言うよりはむしろ手段かな。一番の目的は「国民みんなにお金を使ってもらうこと」だよ。
あ!そっか。貯蓄に回ったら意味ないもんね。
そう。国民の所得を増やし、支出(消費)させる事が目的。だから、給付金だけでは目的を達成できない可能性がある。
そっかぁ。じゃあ、どうすればいいの?
そうするには支出(消費)に繋がる政策が必要になるね。
そんな都合のいい政策ってあるの?
もちろんあるよ。例えばエコカー減税。エコカー減税は、車を購入した際に利用できる制度だからね。
なるほど!必ず消費行動が伴うんだね!
そう。だから効果が高いんだ。
給付金も嬉しいけど、消費をした人が得をするってのは、確かに理にかなった手法だね!
そうだね。しかし、これはあくまで車を買う財力のある人しか利用できない制度。
確かに、車って高い買い物だもんね。
そう。本当に困っている所得の低い人には何のメリットもない制度とも言える。
他にはないの?
住宅ローン減税もあるけど、これもマイホームを買えるだけの収入がある人しか利用できないね。
私にはマイホームなんか買えません・・・。
そう考えると、所得の低い人が利用できる減税対策を立てる事が、一つの方策と言えるね。
それ、ぜひお願いしたい。
消費税の性質と問題を考える
あとは、一番有効で手っ取り早いのが、消費税の減税だね。
消費税の減税なら、どんな人にも恩恵あるからいいね!
ぼく個人的には、真っ先に実施すべき経済政策だと思っている。デフレ不況から脱却するまでの間、消費税0%でいいと思うよ。
それいいね!そうしたら、一気にみんなモノやサービスを買い始めそうだもんね。
減税がいつ終わるか分からないから、皆が今のうちだー!と、一気に消費を増やすだろうね。
消費税の減税は真っ先にやってほしい政策ね。
もう一つ付け加えると消費税の減税は所得の低い人ほど恩恵を受けやすいという性質があるんだ。
え?なんで?
消費税の話しをし始めたら、たぶん終わらなくなるので、今回はなるべく簡単に説明するね。
わかった。詳しくは改めて教えてね!
了解。消費税だけど、この税金は他の税金と異なる性質を持っている。例えば所得税と法人税は、その額に応じて金額が変わるよね。
累進課税ってやつ?
そう、所得税は所得が高い人ほど多く支払い、所得の低いほど課税額は低くなる。法人税も同じ。そして、所得がない人や赤字の会社は支払う必要がない。
そうなんだ、わりと優しい税制度なのね
これを「累進性がある」と言うんだ。しかし、消費税にはその累進性がない。
そっか。消費税を支払うのに、その人の所得は関係ないもんね。
うん、相手が子供だろうが老人だろうが、容赦なく一律で課税対象となるんだ。
そう考えると、消費税って恐ろしいね。
で、さっき「消費税減税は所得の低い人ほど恩恵を受ける」って話したけど、これには消費性向が関係している。
出たな!新しい用語。しょうひせいこうとは何ですか?
消費性向とは、所得のうちどれだけを消費にあてるかを示す割合のこと。所得の高い人ほど消費性向は低く、所得の低い人ほど消費性向が高くなる性質があるんだ。
なんだか難しいね。いまひとつ理解できないや。
おっけー。じゃあ例を出そう。例えば以下のようなAさん、Bさんが居た場合、BさんよりAさんの方が消費性向が高いと言える。
以下の条件で、AさんBさんともに消費に100万円を使ったと仮定した場合の消費性向の割合。
Aさんは所得(年収)が200万円
→消費に支払った割合は所得の(100万÷200万)=50%。
Bさんは所得(年収)が1,000万円
→消費に支払った割合は所得の(100万÷1,000万)=10%。
Aさんは所得が200万円で、その半分を消費に使っている。Bさんは所得が1,000万円あるから、同じ額を使っていても所得に対する割合が少ない、という事?
その通り。同じ消費税額を支払っている以上、消費税は所得の低い人ほど、実質的な負担が大きい税だと言える。
公平そうに見えるけど、実はそうじゃないって事?
そうだね。税金というのは普通は累進性があって、不景気な時は課税額が低くなり、景気が良くなると課税額が高くなる、という機能が備わっているよね?
それが累進性ってやつでしょ?
うん。この機能のことを「景気の安定化装置(ビルト in スタビライザー)」って言うんだ。
ずいぶんとかっこいいネーミングだね!
ネーミングは置いておいて、問題なのは消費税にはこの機能がないって事。
景気の安定化装置がないって事?
そう。景気が良かろうが悪かろうが、所得があろうが無かろうが、容赦なく全国民から一律で徴収する、という特徴があるのが消費税なんだ。
なんか、消費税が嫌いになってきた・・・
まあ、そもそも好きな人はいないと思うけどね。
ちょっと難しかったけど、消費税減税は所得の低い人ほど恩恵を受けるって意味は理解したよ!
さっきのエコカー減税や住宅ローン減税よりいいでしょ?全国民が一律でその恩恵を受けられるからね。
でも、実現は難しいんでしょ?
そうだね、議論すらされていないかもね。というか、むしろPB黒字化目標はぜったい達成する!みたいな事を財務省も言ってるしね。
なにそれ最悪。この期に及んでまだ緊縮財政を実施するの?
それは仕方ないよ。だから今は、1人でも多くの国民が今まで説明してきた事実を知ることが大事だと、僕は思う。
だからまっきーさんは、こんな風に色々と教えてくれるのね!
せっかく勉強したし、その知識を出来るだけ多くの人に広めたいんだ。まずは知る事が第一歩だからね!
りょーかい!私は理解したよ!
ありがとう!財政出動の話しはまだ続くけど、かなり長くなったので、ここで一旦終わりにしよう。
おっけー、今日もありがとう!
まとめ
さて、今回はいかがでしたでしょうか?
今回も、かなり経済の突っ込んだ内容になってきたので、少し難しかった部分もあるかもしれません。
今回学んだポイントを以下に記載します!
◆日本では「デフレマインド」が蔓延しており、消費よりも貯蓄に回る傾向が強い。
◆日本では、デフレ不況下においても「緊縮財政」が実施され続けており、むしろ政府が景気回復の足を引っ張り続けている。
◆現状を打破するには政府主導による「財政出動」が不可欠である。
◆消費税は、その危険な性質から問題点が多く、デフレ不況下では真っ先に減税すべき税と言える。
今回も随分と長くなってしまいましたが、日本の現状と課題が随分と見えてきたのではないでしょうか?
何事も「知ること」が第一歩です!これを読んでくれた方は、その一歩を踏み出したと言えますね!
次回も「財政出動」を中心に、日本で実施すべき経済政策などについて話していきたいと思います。
では、最後まで読んで頂いて、ありがとうございました!