皆さんこんにちわ!まっきーです。
前回から「デフレ」について勉強を始めました。デフレは、一般の方からすると一見して分かりにくい経済状況かも知れませんが、理解してしまえばそんなに難しいことでもありません。
デフレの正体を知り日本の現実を知れば、実施すべき経済政策が見えてくるはずです。
では、そら美ちゃんと一緒に、デフレとは何かを勉強していきましょう!
そら美ちゃん!今日も昨日の続きで、デフレについて勉強しよう!
でふれーしょんね!りょうかい!
前回までは日本がデフレに至るまでの話しをしたけど、その辺りは大丈夫かな?
うん、大丈夫だよ~!
おっけい。じゃあ、今日はいよいよ「デフレとは何か?」について説明していくよ。
はーい!
消費者物価指数(コアコアCPI)とデフレーション
そら美ちゃんは、デフレって聞いて何を想像する?
デフレ?そうね、物価が下落していく現象ってのは分かるけど、実はあんまりイメージ出来てないかも。
確かにイメージが難しいかも知れないね。そのあたりのメカニズムから話しをしよう。
はーい!
いまそら美ちゃんが言ったけど、デフレとは「物価が継続的に下落していく現象」だよ。
物価の下落って、実際にどうやって判断するの?
基本的に物価の変動は「消費者物価指数(CPI)」を見る。
久々に難しい言葉が出て来たね・・・
うん、頑張って。で、更に「コアコアCPI」というのがあって、これを見ている。
こあこあしーぴーあい?
うん。これは、食料やエネルギー製品のような世界情勢の影響を受けやすい品目を除いた物価指数なんだ。
ふーん。なんでそんな事するの?
エネルギー製品などを加味してしまうと、本来その国で起きている物価の変動が正確に把握できないんだ。
だから、外的要因を対象から外したってこと?
その通り!そうする事で、その国の純粋な物価の変動を見ることが出来る。
なるほどね~。
そして、このコアコアCPIが増えていればインフレ、下落していればデフレ傾向と言える。
物価が上昇すればインフレ、下落すればデフレって訳ね。
そう。で、1989年から2015年頃までの消費者物価指数の推移は以下グラフの通りだよ。赤線がコアコアCPI。ちなみに青線はエネルギー製品等も含んだCPI。
で、こっちが前年同月比のグラフ。
どちらも基本は年を追う毎に下がっているけど、1998年と2014年頃にグッと上がってるね?
そうだね。これは消費税増税前の「駆け込み需要」だね。
駆け込み需要?
うん。消費税が上がる前に買い物を済まそうと、一時的に需要が増えた、って事だね。
なるほど。じゃあ2015年以降は、コアコアCPIは下がってるって事?
状況から見て間違いなく下がってると思う。1998年の時も、翌年以降は顕著にコアコアCPIが下がっているからね。
ふーん、まあ予想通りだね。
うん。つまり、このコアコアCPIが右肩上がりならインフレ、右肩下がりならデフレ、という事になる。
そういえばバブルが崩壊後、1997年まではデフレ化しなかったって言ってたけど、下のグラフはその間もコアコアCPIが下がってるね。
そうだね。純粋な数値である上のグラフでも、コアコアCPIは上がっているけど、青線のCPIは横ばいか、少し下がっているね。
それはどうして?
おそらく外的要因だね。1991年には湾岸戦争が勃発したから、石油などのエネルギー製品が、何らかの悪影響を受けたのだと思う。
そっか、湾岸戦争って中東だもんね。
うん。で、話しを戻すと、このようにコアコアCPIが下がり続ける状態が続いているのがデフレであり、日本の現状だよ。
1998年以降、日本ではコアコアCPIは常に下がり続けてるからデフレって事ね!理解したよ。
減り続けている我々の「平均給与」
デフレについては前に一度解説しているけど、復習の意味も込めてもう一度説明するね。
はーい!
モノやサービスの価格が継続的に下落する現象がデフレだったよね。じゃあ、実際にどんな影響があるか見て行こう。
実際の影響?
うん。デフレが我々の生活にどんな悪影響を及ぼすのかを知らなければ、政府の対応が正しいか判断できないからね。
確かにそうね。デフレは需要不足だったよね。
だね。日本は高度成長期を経て高い供給能力を持ったんだ。供給能力とは人材・技術・設備の結晶なんだ。しかし、デフレ不況によって需要が不足し始めたため、供給能力が過剰になってしまった。
過剰なら、減らせばいいんじゃない?
と、思うよね。でも、供給能力を減らすという事は、企業がリストラを実施することとイコールとなるんだ。
リストラ・・・つまり人員削減?
リストラとは「restructuring(リストラクチャリング)」を略した言葉で、広い意味では事業の再構築を意味する用語なんだ。ただ、日本では人員削減という意味合いが強いね。
人員削減・・・そっか!働く人が減るわけだから、職を失う人が増えてしまうんだね。
だね。いわゆる「買い手市場」になるから、企業側が有利になる。こうなると、我々の給与は増えにくくなるんだ。
買い手市場だと、働きたいのに働けない人が増えるって事?
自然とそうなるよね。働き手の方が多い状態だからね。そして、そうなると企業側は強気になるため給与は増えにくい。
ふーん、なんか嫌なカンジだね。
経営者から見れば、人件費は出来るだけ抑えたいからね。それにデフレでは企業が儲けにくい状況だから、必然的にそうなるのも仕方ないんだ。
じゃあ、デフレになるとお給料は減っちゃうの?
そうなるね。実際に数値を見れば分かる。これは自分が作ったグラフだけど、デフレに陥った1998年頃から我々の平均年収は下がり続けている事が分かる。
ホントだ!1997年頃を境に、見事に増えていないね。
1997年の467万円をピークに、以降は一度も467万円を上回っていない。
どうしてお給料が増えないの?
源泉であるGDPが増えていないからね。当然ながら国民の所得も増えるわけがない。
そっか、GDPが増えてないならそうなるよね。
「デフレスパイラル」の怖さ
デフレの怖いところは、この状態を放置すると、デフレがどんどん悪化していくところなんだ。
そうなの?
順を追って考えると分かるよ。まず、デフレが起きると需要が少ないから企業の売上は減少するよね。
そうなると、企業はリストラを始めるんだっけ?
だね。人員削減や経費削減、事業縮小などを行う。そうなると、働き手は減るし、たとえ働いていても給与はあまり増えない。設備投資も減るから、関連企業も利益を上げにくい。
失業者が増えたり、給料が上がらない人が増えるって事ね。
失業者も増え給料も減ると、まず所得税が減るね。
所得税が減っちゃうから、国の税収が減るんだね。
うん。で、所得が減ると国民が消費に回すお金は増える?それとも減る?
当然減るよね?私だってお給料が減ったら、ソフトクリームが・・・。
ソフトクリーム我慢するよね。つまり支出を減らす。そうなると、企業は儲けやすい?それとも儲けにくい?
モノやサービスが売れないから、当然儲からないと思う。
だね。そうすると企業はどうする?
・・・リストラ?
そう、経費や人件費の削減、事業を縮小して何とか利益を確保しようとするね。でも、それを実施すると、職を失う人が増え、給料が減る。
そうすると所得税は減り、国民の支出が減る。すると企業は儲からなくて・・・なんかループしてるね。
うん。このループを「デフレスパイラル」って言うんだ。
なにそれ!なんかの必殺技みたい。
必殺技なんていいものじゃないよ。このデフレスパイラルを放置すると、どんどんGDPは減り国民は貧困化していく。
それに、所得税も減るんだったよね。
更に言うと、企業が利益を上げられないと「法人税」の税収も減るから、結果的に政府の税収も減る。そして最終的には日本が築き上げた「供給能力」すらも毀損していく。
放置してもいいことは全くないね。
うん、だからこそ需要を増やすための財政政策が必要なんだ。今の政府の対応のように「消費税」だけ増税しても「所得税」や「法人税」が減ってしまっては意味がないからね。
そうなんだ。もしかして、実際に所得税や法人税って減ってるの?
うん。このグラフを見て欲しいんだけど、平成9年~11年(1997年~1999年)頃、消費税収が上がっていると同時に、所得税と法人税の税収が下がっているのが分かる。
確かに。しかも、所得税も法人税も減り始めてから、それ以降はあまり増えてないね。
そう。つまり消費税収だけが上がれば良いって訳じゃないよね。国の借金を減らしたいなら、3大税収である「所得税」や「法人税」も同時に増やさなければならない。
でも、デフレだから増えないって事よね?
そう、だからこそデフレ対策が必要になる。デフレスパイラルを断ち切る必要があるんだ。
日本が目指すべきは「経済成長」である理由
でも、どうやってデフレスパイラルを断ち切るの?
簡単だよ。経済成長すればいい。
経済成長?でも、それが出来ないから困ってるんでしょ?
さっきも言ったけど、消費税収だけ上げても意味はない。所得税と法人税も同時に上げ、トータルの税収を増やす必要がある。
そんな事が出来るの?
出来るよ。GPDを増す、つまり経済成長すればいいんだ。
GDPを増やす・・・どうやって?
日本の場合、もともと高い供給能力を持っている。足りないのは「需要」だね。だから需要を増やす政策をやればいいんだ。
なんか簡単に言ってるけど、そんな事できるの?
もちろん「高い供給能力」があることが前提だよ。モノやサービスを生み出す能力がなければ、話しは変わってしまう。
高い供給能力・・・それがあれば大丈夫なの?
むしろ供給能力がとても重要。これが無ければ、いくらお金があっても何も出来ない。でも、日本に足りないのは「需要」だから、それを満たすための財政出動を実施すればいいんだ。
あ!それ少し前に勉強したね。公共投資が削減されてるって言ってたから、それを実施すればいいって事?
うん!それも一つの正解だね。公共投資はずっと減らされていたから、それを元の水準に戻しつつ、耐震化や防潮堤の造作など必要な災害対策を実施すればいい。
公共投資って、国民の命や物流、それに国の成長を支える大事なモノだもんね!
そうだね。ほかにも消費税の減税や、所得税の減税措置でも良い。とにかく民間の所得を増やすことも大事だね。
お給料が増えるなら、うれしい!
ただ、単なる所得移転だけだと消費に回らない可能性もある。だから、消費に繋がる政策も併せて必要だよね。
そっか、前にも話したね。貯蓄に回ると意味がないってやつだね。
その通り。貯蓄に回るとGDPは1円も増えず、我々の所得が増えない。だから、そのお金が消費に回る政策が必要なんだ。
エコカー減税みたいなやつだよね?
そうだね。「消費をした人が得をする」状況を作ればいい。人は「得をしたい」って考えて行動するから、自然と消費が増えるはずだよ。
それらをまとめて「財政出動」って言うんだよね!
その通り!そうすればGDPが増え、我々の所得も増える。そして消費(需要)が増えれば企業が儲かるし、儲かるから「投資」をして事業を拡大する。
そうすれば給料も増えるし、働き手も増える!
そうだね!さっきのデフレスパイラルとは逆のことが起こる。そうなれば、やがてデフレ不況から脱出する事が出来る。
なんか、未来が明るくなってきた気がする!
このように、日本では供給能力を満たすための財政出動が必要だって事が分かったよね。
あ、浮かれてたけど、でも結局は緊縮財政しか実施しないんでしょ?今の政府は。
そうだね。政府には正しい判断をして欲しいけど、PB黒字化目標なんかもあり、なかなか難しい状況ではあるね。
正しい判断はどこへ行ったの・・・?
まあ、悲観しても仕方ない。日本の問題はあくまで「政治の判断」。だからこそ、政治家に任せきりにしたり無関心にならず、自分の頭で考える事が大切なんだよ。
それがやがて「世論を生む」ってことね!
そう!そのためにはまずは知る事が大事!そんな訳で、今回も長くなったので、ここまでにするね~!
うん、今日もありがとう!
まとめ
今回も少し長くなってしまいましたが、最後に今回勉強した内容をまとめます。
◆日本の消費者物価指数(コアコアCPI)は、1998年を境に常に下落している。
◆日本人の平均年収は、1998年以降はほとんど増えていない。
◆デフレを放置すると「デフレスパイラル」が発生し、我々の所得はどんどん減ってしまうだけではなく、供給能力(モノやサービスを生産する人材・設備・技術)が失われ始める。
◆日本が目指すべきは「経済成長」であり、GDPを増やすための財政出動が必須である。
今回の説明で、デフレとは何かが理解でき、そして日本が実施すべき経済政策が見えてきたのではないでしょうか?
今回は3つのグラフをご紹介しましたが、グラフを見ていると現実(ファクト)が見えてきます。
正しい現状を知ることは、政府の対応が正しいのか否かを判断するためには最低限必要なので、ぜひ覚えて頂ければと思います!
もし良かったら、次回も読んでください!
では、最後まで読んで頂いて、ありがとうございました!