皆さんこんにちは!まっきーです。
今回は「アイヒマン(ミルグラム)実験」について、記事にしてみました。
この記事を書くにあたり、この実験を調べているうちに私が一番感じたことは「人間は個人では善でも、集団になることで簡単に悪になり得る」という事実でした。
なぜ、人間は同じ過ちを繰り返すのか?今のロシアの行動を見るにつけ、そう思ってしまいますよね。
その答えの一端が、この実験にはあるように思えます。
少し重い話しですが、いつも通りそら美ちゃんと会話しながら本件について触れてみました!
もしよかったら、最後までお読みください!
そら美ちゃん、おはよう!
まっきーさん、おはよー!昨日は会社を早退してたけど、体調は大丈夫なの?
うん。たくさん寝たら体調は良くなったよ。身体のだるさは残っているけどね。
そうなんだ!良かったね。やっぱり早起きし過ぎで寝不足だったんじゃない?
そうかもね。体調崩したら元も子もないから、気を付けなきゃね。
そうそう。健康は幸せの基本だね。
そうだね。で、今日なんだけど、また経済とは少し違った視点の話しをしてもいいかな?
もちろんいいけど、どんな話し?
ミルグラム実験の話し。アイヒマン実験と言われたりもしている。
ミルグラム実験?初めて聞くなぁ。
一般的には有名ではないかもね。でも、非常に興味深い実験内容なんだ。
そーなんだ!じゃあ、勉強したい!
オッケー!
「ミルグラム」と「アイヒマン」という人物のはなし
まずは、名前の由来から話そうかな。この実験は、ミルグラム実験ともアイヒマン実験とも言われている。
それって、もしかして人の名前?
そうなんだ。まず「スタンレー・ミルグラム」は、アメリカ合衆国の心理学者。イェール大学在職中に、権威に対する服従についてのミルグラム実験をおこなった事で知られている。
実験をした心理学者さんなんだね。もう一人のアイヒマンは?
「アドルフ・オットー・アイヒマン」は、ドイツの親衛隊隊員で親衛隊中佐。 ゲシュタポのユダヤ人移送局長官で、アウシュヴィッツ強制収容所 へのユダヤ人大量移送に関わった人物。
要するにユダヤ人を強制収容送りにしていた張本人ってこと?
うん。いわゆる最高責任者って感じだね。
なるほど、それがアイヒマンなのね。
うん。この実験では「なぜ、アイヒマンは数百万人のユダヤ人を強制収容所へ送り続けたのか?」というのが根底にあるテーマだと思うんだ。
強制収容所送りって、要するにユダヤ人を・・・
うん。すなわち「命を奪う」という極めて残酷な行為だね。
・・・なるほど。何故アイヒマンが残酷な行為を実行し続けたのか?その心理を研究するのが、この実験ってことなのね。
うん。ユダヤ人を両親に持つミルグラムは、ホロコーストが起きたメカニズムを理解するために「権威への服従実験」をおこなったんだ。
え?ミルグラムさんの両親はユダヤ人だったの?
うん。だからこそ、このホロコーストについて興味を持つキッカケになったのだろうね。
そうなんだ。で、なんとなく分かってはいるんだけど「ホロコースト」ってどういう意味?
直訳するなら「大量虐殺」かな。ホロコーストはいくつも事例があるんだけど、一番有名なのが今回の「ユダヤ人大量虐殺」なんだ。
大量虐殺って・・・怖すぎるね。
恐ろしい事案だけど、実際に起きているからね。だからこそ、ミルグラムは実験をして、そのメカニズムを解明しようと考えたのだろうね。
ミルグラム(アイヒマン)実験とは?
じゃあ、実際にどんな実験だったのか話して行こう。
うん、すごい気になる。
実験は、参加者を「生徒役」と「先生役」に分けて行う。これはくじ引きで役割を決めるんだけど、実際には先生役が真の被験者で、生徒役は役者が演じるサクラなんだ。
先生役が実際の被験者で、生徒役は役者(サクラ)なんだね。
次に「先生」と「生徒」は別々の部屋に分けられ、インターフォンを通じてお互いの声のみが聞こえる状況下に置かれる。
お互いの状況が見えないようにしたのね。で、その横に「博士」がいるわけね。
うん。で、ここからがキモなんだけど、先生役が問題を出し、生徒はそれに答える、という形式で実験が進む。
あれ、問題を出す側の先生が被験者なんだね。
そう。生徒役はサクラだから「ワザと間違える」んだ。で、先生は生徒が間違えると、生徒に電気ショックを流すよう博士から指示を受ける。
電気ショック?なんか痛そう・・・。
電圧は最初が45ボルトなんだけど、「生徒」が1問間違えるごとに15ボルトずつ電圧の強さを上げていくよう指示される。
毎回、後ろの博士が指示するのね。
うん。指示を受けて先生が自分で電気ショックを与えるんだ。最初は軽い痛みだけど、電圧が上がる度にサクラ役の生徒は強い痛みを訴えるようになっていく。
だんだん怖くなってくるよね普通。
うん。生徒の反応はエスカレートしていき「苦悶の金切声を上げる」「壁を叩き実験の中止を求める」「最後は無反応になる」と移行していく。
・・・なるほど。その反応を見るんだね。
うん。白衣を着た権威のある博士らしき男が、その度に感情を全く乱さない超然とした態度で次のように順次通告するんだ。
1.『続行してください』
2.『この実験は、あなたに続行していただかなくてはいけません』
3.『あなたに続行していただく事が絶対に必要なのです』
4.『迷うことはありません、あなたは続けるべきです』
なるほど。これを言われても先生役は実験を続けるのか?というのを見るわけね。
4度目の通告がなされた後も、依然として被験者が実験の中止を希望した場合はその時点で実験は中止。そうでなければ、設定されていた最大電圧の450ボルトが3度続けて流されるまで実験は続けらる。
・・・なるほどね。
実験の結果から見える「人間の本質」とは?
この実験は「権威に対する服従についてのミルグラム実験」という事を最初に話したよね。
うん。さっきの「白衣を着た権威のある博士らしき男」が権威にあたるって事よね。
だね。生徒役(サクラ)の反応、つまり「生徒役が叫び苦しむ声がスピーカーから聞こえる」状態で、先生役は博士の指示に対して、どのような反応をするのか?という実験。
実験の結果はどうだったの?
被験者40人中26人(統計上65%)が、用意されていた最大電圧である450ボルトまでスイッチを入れた、という結果になった。
65%の人が最後まで実験を進めてしまったのね。
しかも、権威のある博士らしき男の強い進言によって「一切責任を負わない」ということを確認した上で実験を継続しており、300ボルトに達する前に実験を中止した者は一人もいなかったんだ。
そうなんだ。でも、確かに「自分に責任が及ばない」と分かれば、逆らうより従った方が楽かもね。
もう一つ面白いデータ。この実験の前に、イェール大学で心理学専攻の4年生14人を対象に、実験結果を予想する事前アンケートが実施されたんだ。
へえ。アンケート結果はどうだったの?
ほぼ全員が「最大ボルトに達する前に実験は中止されるだろう」と予測した。
そうなんだ!実際の結果とかなり乖離しているね。
そう。つまり個人の倫理観からは「実験は注意される」と予測した。しかし、その倫理観を「権威ある博士の指示が覆した」という事になるね。
なるほどね。でも、冷静に考えたら「偉い人や上司に指示されたことが誤りと分かっていても、それを指摘して覆す」って、かなり勇気が必要だよね。
サラリーマンなら分かるよね。例えば、ずっと上の役職者(例えば社長など)に指示された事を「社長、それは間違いだから止めるべきです」って指摘できるかな?
・・・とっても難しそう。
この実験、あくまで個人的な意見だけど、日本人ならさらに確率が高くなる傾向がある気がする。
うん、分かる気がする。
ナチスに従い悪魔の所業を続けるか、それに逆らうか。
これまでの事を踏まえ質問。「ナチスの指示に従い実験を続けるか、それに逆らうか」どっちを選択する?
・・・ごめん、たぶん従う。だって、逆らったら自分に危険が及ぶ可能性もあるんでしょ?
ナチスという組織に逆らうというのは、まさに命がけだろうね。そうなれば、やはり大半の人は従うんじゃないかな。
だよね。このアイヒマンさんは、実際どんな人だったの?
アイヒマンは、ドイツ敗戦後、南米アルゼンチンに逃亡し、自動車工場の主任としてひっそり暮らすんだけど、その後イスラエルの諜報機関により拘束されてしまう。
あら、普通に生活していたんだね。
イスラエルにおける裁判で描き出されたアイヒマンの人間像は「人格異常者」でも「冷酷な殺人者」でもなく、結婚記念日には妻に花束を贈り、真摯に「職務」に励む一介の平凡で小心な公務員の姿だった、と言われている。
すごく残虐な人をイメージしてたけど、普通のサラリーマンって感じだね。
この実験結果を聞いて、僕はアイヒマンという人物をを非難できないな、と思った。ナチスに逆らってまで、ユダヤ人を強制収容所送りにする事を止められたか、と言われると正直自信がない。
・・・ごめん、私も同じ。
うん。つまり「組織の中では、指示された事が誤りだと分かっていても、権威ある対象者(または組織)に指示されると、逆らう事は極めて難しい」という事だね。
うん。それは否定できないや。
そして「強い権力を持つ人間が誤った方向へ進んだ場合、組織内だけでそれを止める事は極めて難しい」という事でもあるね。
つまり、特定の権威者が強い権力を持ってしまうと、それを止めることは難しくなる、という事だね。
だね。1人に権力が集中する体制はかなり危険だと言える。つまり「独裁国家」というのは、如何に危険な存在になりうるのか、という事がこの実験から分かると思うんだ。
なるほどね。だから民主主義国家のように、選挙で国民が国会議員を選ぶような体制が必要なんだね。
日本は民主国家だから国民には選挙権がある。だから、政治が間違えていたり正しくないと思えば、選挙でその意思を示す事が出来るよね。
そうだね。まぁ、私は投票に行ってないケド。ちなみにロシアはどうなの?
旧ソ時代の共産党一党独裁制が放棄され、多党制に基づく選挙が行われるようになった。しかし2003年以降は事実上ウラジーミル・プーチン大統領率いる与党統一ロシアの一党優位政党制になっているようだね。
となると、現在のウクライナ侵攻を、ロシア国内から止めるのは難しいのかな?
うん。今回勉強したミルグラム実験のように、プーチン大統領の決断に異を唱える事は、かなり大きなリスクが伴う。それを実行する英雄は、なかなか現れないかも知れないね。
なるほど・・・だから戦争って無くならないのかな。
人間は個人では善良でも、組織化された中では自身の善悪よりも権威(組織)の判断に従う傾向が強くなる。我々はそのリスクを忘れずに居るべきだよね。
うん。とっても難しい事だけど、そうでありたいね。
まとめ
以上が「ミルグラム実験(アイヒマン実験)」についてでした。
少々重いテーマとなってしまいましたが、この実験結果を通じて皆さんはどう感じましたか?
私もサラリーマンですから、上司に逆らってまで間違いを指摘できるのか?と自問すると、正直まったく自信はありません。
人間は弱い生き物。誰もが自分の意思を貫けるような強い人間、という訳ではありません。
だからこそ、せめてそのリスクを知りつつも、それが明確に誤りであると感じた時は、恐れずに指摘できる人間でありたい、と心に留めておきたいものです。
以上、ミルグラム実験(アイヒマン実験)についてでした!
後まで読んでいただいて、ありがとうございました!